司法書士業務
元気なうちに備える方が増えています②任意後見契約
「おねえちゃん、これ、持ってかっしぇー。ほら、お兄ちゃんの分も!」
ありがたいことに、たくさんの方に孫のように(?)慕っていただき、毎日楽しく過ごしております。
わたしたちは、たくさんのお客さまのご自宅にお邪魔します。
その理由のひとつは、出張相談。足腰が悪かったり、仕事の関係で事務所まで来るのが難しい方のもとへは土日や夜でも伺います。
もうひとつの理由は、今回のトピック、「見守り契約・任意後見契約」。
この契約を結んだ方たちのもとへ、長田をはじめ、伊豆で育ったスタッフたちが、元気かどうか、困っていることはないかどうか等を確認するため伺います。
Q1.「任意後見契約」とは
→元気なうちに、信頼できる人を見つけて、その人との間で、もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合に、自分に代わって、財産管理(医療費や施設費の支払い等)や必要な契約締結(施設への入所手続き等)をしてくださいとお願いし、引き受けてもらう契約。
一方で「法定後見制度」とは、すでに判断能力が不十分な方に代わって、施設への入所申込みや、医療費の支払い等をしたり、被害にあった契約を取り消したりする制度。
Q2.わざわざ元気なうちに契約を結ばないで、いよいよ認知症等になって支援が必要になったときに、法定後見制度を利用すればいいんじゃない?
→任意後見契約では、自分で信頼する人(親族でも、専門家でも)を任意後見人に選ぶことができます。
一方、法定後見制度では、裁判所が認めた者が、後見人となるため、本人と面識のない者が後見人となる場合が多く、その結果、本人の元気な時の意向が、反映されにくくなってしまいます。
任意後見契約では、本人が元気な時に自ら作った契約の内容に従って、信頼する者が本人に代わって、財産管理や契約の締結をするため、判断能力低下後も、本人の生活スタイルを維持できる(できるだけ自宅で最期まで過ごしたい等)ということが大きなメリットです。
Q3.では、任意後見契約を結ぶデメリットは?
→判断能力が低下しないまま亡くなった場合、任意後見契約は必要なかったことになり、任意後見契約書の作成費用は無駄になってしまいます。
ただ、もしも自分でいろいろ分からなくなったときに一体どうなるのか、誰が助けてくれるのか、周りに迷惑をかけるのではといった不安と比べれば、微々たるものといえるのではないでしょうか。
Q4.任意後見人に財産を不正に使われることはないの?
→任意後見人の仕事は、裁判所によって選任された任意後見監督人がチェックします。つまり、任意後見監督人を通じて裁判所も任意後見人の仕事をチェックするシステムとなっています。
Q5.いつ任意後見契約は終了するの?
→本人の死亡または破産によって、契約は終了します。死後事務委任契約(詳しくは→〇)を一緒に締結することで、亡くなった後の、お葬式やお墓、自宅の整理等まですべてお任せすることが可能です。
弊所スタッフは、契約書作成時からそれぞれの方とコミュニケーションをとることで、困ったことはないか見守り、そして、たとえ本人の判断能力が低下した後も、その方らしく過ごせるよう、元気なうちから信頼関係を築けるよう心がけています。
家族の在り方の変化によって、近くに頼れる人がいない方が多くなった今。このような備えをする方が増えています。
備えることで解決できる不安もあります。
契約内容の作成から、継続的に皆さんの安心を支援していきます。